『スタートアップ・バブル 愚かな投資家と幼稚な起業家』を読んだ

 

今週のお題「読書の秋」

4時間くらいで読める。かなりお勧め。ストーリーがめっちゃ面白いので一気読みできる。今年のtop10に入りそう。

 news weekをクビになった50代の筆者がシリコンバレーのイケてるとされているスタートアップのhub spotに心機一転転職してストックオプション目指して頑張るんだけど、結局平均年齢26歳のこの会社になじめずに同僚にバカにされ、ストレスや不当とも思える処遇を受けて1年半で辞める回顧録。ただ示唆する内容はたくさんあり、行き場の選択をミスったおじさんの残念な話と一蹴するだけではもったいない。読み始め段階では、若い人が頑張っている所に老人が苦言を呈するようなことは辞めればいいのにと思っていたけど、読み進めるにつれて、スタートアップの問題、例えば調達した資金を溶かして利益を出さずに売り上げだけを伸ばしてIPOをして、創業者とVCのみに還元されるが従業員に還元しない組織という問題もあることに気が付く。

 スタートアップのギラギラした雰囲気は私も好きだし、そこで薄給激務であっても学生時代を引きづっている若い人からするとその行動や仲間がいることと、ドーパミンのような鼓舞に酔いしれ、夢を求めてがむしゃらに働く感覚が楽しくてたまらないというのも知っているし、VCから出資してもらって社長をするとか、最初はすごく楽しいかもしれないけど、もしかしたら利益の享受者に、うまくコントロールされているだけかもしれない。コントロールされていても本人が満足しているなら何もいうことはないけど。

 一番考えさせられるのは、年齢を重ねるにつれて、本当に能力を上げていかないと辛い、ということ。年寄りが高い給与をもらっているのに若手より成果を出さないってシンプルに微妙。実際若い人はフットワークも軽く失敗も成功も経験が少ないから過去の呪縛に苛まれずに思考も柔軟で体力あるからめっちゃ働くから、年齢を重ねても若い人と同じ戦い方をしていたら絶対に若手に負ける。歳を取るにつれて役割や立場を自ら変えていく選択をしないと、現状に安住していると、歳を取ってから露頭に迷いそう。

 往々にして若者は年寄りをバカにし、年寄りは若者をバカにする傾向があるけど、そもそも若者は悪意なく無邪気に年寄りを傷つけることがあることや、老人は経験の蓄積の多さが邪魔をして行動や思考に変革を起こしにくい性質を持ちやすいということを相互に理解して接するのが無駄な衝突を呼ばなくてよさそう。心からの悪意なんて早々ある人はいないし。

 本当は年齢なんて関係なくリスペクトできる人かどうか、が大事なポイントで、年上も年下もリスペクトできる人は常に余裕と学ぶ姿勢があるからか、応対する人に対して凄く丁寧に接する人が多い印象。一回りも二回りも離れた私が稚拙な質問をしても、凄くコストをかけて返事をしてくれる年上の人がいてくれたりする。逆に対応が雑だったり偉そうだったりする人は、キャパを超えて余裕のないその程度の人か、応対する自分のレベルが相手と比較してあんまりにも低い場合のどちらかかと思う。余裕をもつこと、何事からも学ぶ姿勢というのがやはり大事なのかと。耳が2つあって口が1つなのは自分が話す2倍くらい人の話を聞くべきということかもしれないし。

 

スタートアップ・バブル 愚かな投資家と幼稚な起業家

スタートアップ・バブル 愚かな投資家と幼稚な起業家